バリバリのビジネスマンから千葉へ移住しておむすび屋さんになった「かっつぁん」が大切にしていること
坂本勝彦
取材日:2020.10.09
東京から千葉県いすみ市に移住しておにぎり屋を営む「おにぎり工房かっつぁん」の坂本勝彦さん。
こんな田舎の田んぼに囲まれた中に、どーんっと構えるお店は「ここでお客さん来るの?」と一瞬思ってしまうほどですが、インタビュー当日も、おむすびはほぼ完売状態。またお店の営業だけでなく、週末はいろんなイベントに呼ばれて出店も。
そんなお店を切り盛りする「かっつぁん」こと坂本さんに、お店を開くまでの経緯やこれからのことを伺ってきました。
おむすびマンくぼ田
Kubota
かっつぁん
Kacchan
よろしく!
まぁ、まずはおむすび食べなよ!3つくらい食べれる??
インタビューを始める前に、早速、おむすびを出してくれる、かっつぁん。
千葉の鴨川の天然塩と木更津の青まぜ海苔、そしていすみ市のいすみ米、すべて千葉県産で作られている千葉県で一番うまい塩むすび!=千葉おむすび
丁寧にお店で焼き上げた鮭が入っている定番おにぎり!焼鮭!
かっつぁんの家で採れたシソの実をかっつぁん自家製の梅酢で味付けした季節のおにぎり!
以前はバリバリのビジネスマン!?
おむすびマンくぼ田
Kubota
美味しいおむすび、ご馳走さまでした!
今は、この千葉県いすみ市にあるお店だけじゃなくていろんな場所でおにぎりを提供しているんですよね?
かっつぁん
Kacchan
そうだね。いろんなところにも行ってるよ。
おむすびマンくぼ田
Kubota
ちなみに、この「おにぎり工房かっつぁん」を始める前は、おにぎりとは関係ない別のことをしていたんですよね?
かっつぁん
Kacchan
そうだね、ソフトハウスの営業マンをやってたよ。
住んでいる場所も、もともとは東京だったんだけどね。
仕事柄出張が多くて、どうせ出張するなら、住んでるところなんてどこだっていいじゃんって思って、子育てのことも考えて、ここ、千葉県いすみ市に移住してきたんだ。
おむすびマンくぼ田
Kubota
かっつぁんが取材されている記事で読みましたが、その会社では役員も勤めていて年収も1000万円越えだったと!
かっつぁん
Kacchan
そうそう、役員だったから、最初にここに引っ越して来たときには、当時の社長には怒られたよ。笑
「千葉県のいすみ?そこどこだ?役員がなんでそんな遠くにいくんだよ!」ってね。
おむすび屋になるきっかけ
おむすびマンくぼ田
Kubota
移住して来て、おにぎり屋さんを始めることになるきっかけはなんだったんですか?
かっつぁん
Kacchan
それはね、移住して来て、ここの米うまいんだ!ってことを知ったのがきっかけ。
そのうまい米が、「いすみ米」っていうブランド米だっていうことを知ったわけ。
でも、こんなうまい米を誰も知らなくて、なんで宣伝しないんだろう?って疑問に思って、自分でこのお米を売り始めたっていうのが始まりだね。
おむすびマンくぼ田
Kubota
ということは、おにぎりに関しても、お米に関しても、最初は経験ゼロだったんですね?
かっつぁん
Kacchan
まったくないし、なんにも知らなかったよ。
おむすびマンくぼ田
Kubota
どうしたんですか?
かっつぁん
Kacchan
もう、全部独学。簡単に言えば、自分が美味いと思って、自信を持って出せば大丈夫っていう、なんの根拠もない自信だけで始めたよ。笑
米だけはうまいんだから、ぜったい、間違いないってね。
おむすびマンくぼ田
Kubota
すごい!
かっつぁん
Kacchan
いすみ米って、冷めた時に、一番うまいの。まさに、おにぎりにうってつけ。おにぎりのために生まれて来たんじゃないかっていうお米なんだよ。
おむすびマンくぼ田
Kubota
それは、最高のお米ですね。
お米だけじゃなくて、自信を持って前に進めるかっつぁんの姿勢、最高ですね!
今は、どんな営業スタイルなんですか?
かっつぁん
Kacchan
今は、ここ、自分の家を工房にして、平日だけお店を開けて、週末はここで握ったおにぎりを持って、いろんなところに行っているよ。
いすみ市には移住者も多いんだけど、移住者にとっては、地元のおいしいお米が食べれる場所を知らないからこそ、需要があってね。
移住者を中心にあそこにいけば美味しいお米が食べられるってことが口コミで広がってって感じだね。
おむすびマンくぼ田
Kubota
地元生まれの人にとっては、いすみ米は当たり前だとしても、移住者にとってはありがたい存在ですね。
週末の出店は遠方まで行くこともあるんですか?
かっつぁん
Kacchan
そうだね。最初はこの周辺と、あとは千葉市のイベントが多かったけど、だんだんと遠方まで広がってるね。
今では、いすみにこういうおむすび屋あり!っていう、噂が広がってくれて、今や、房総に関しては、うちの名前を知っているお客さんがだいぶ増えて来たね。
おむすびマンくぼ田
Kubota
いいですね!楽しそうですね!
かっつぁん
Kacchan
楽しい楽しい、めっちゃ楽しいよ。
お金の価値ってなにか
おむすびマンくぼ田
Kubota
あえて、この流れで聞きたい質問があるんですが、、、
以前、ソフトハウスの会社で役員をやられていた頃に比べたら、年収っておそらくさがってますよね?
その辺りのことって、どういう風に考えてるのかって、聞かせてもらえたりしますか??
かっつぁん
Kacchan
もともと裕福な家庭で育っているわけでもないし、金の価値ってなんなのよっていうのが根底にあってね。
たくさん稼いでいったいどうするのっていう考えがあって、たくさん稼ぐことと、自分の裕福さ・幸せさっていうのは違うよねっていうのがあるわけですよ。
おむすびマンくぼ田
Kubota
稼いでいる金額と自分の豊かさは直結するわけではないってことですね。
かっつぁん
Kacchan
自分で稼いでたから確信を持って言えるんだけど、一所懸命稼いだって、しんどくて、わけのわからん病気になって、常に神経やられて、、、
それが果たしていいことなのか?っていうことだよね。
いすみに住んでて、ここに帰って来るとリセットされる、ていうのをつくづく感じて一番大事なことはお金じゃないよなって。
おむすびマンくぼ田
Kubota
稼いだ経験もある上で、そう感じられておっしゃっているので、説得力があります。
かっつぁん
Kacchan
お金って、とりあえず自分の住むところぐらい建てられて、じゃああと何に必要なの?ってね。
こどもらだって、結局は自分で独立して、なんとかするんだから、こどものために一所懸命残すってのもばかばかしいし、
だったら、自分たちが、ストレスなく生きることっていうのが一番正しいなって思って、だったら、それはお金じゃなくて、日々の生活だよねって思うのよ。
だからこそ、日々の生活ができるだけ稼がせてもらって、あとは日々の生活の中で楽しく、おもしろくできりゃ、それで十分だってね。
おむすびマンくぼ田
Kubota
なるほど。
これは、個人的な質問になっちゃいますが、いろんな人にインタビューさせてもらったりしていると、色々考えさせてもらう瞬間が多いんです。
そうすると、まさにかっつぁんが言っている、自分にとっての豊かさが大事だよな!っと思う自分もいれば、でも、ガンガン稼ぎたいよな!っていう自分もいて、
どっちが自分の正解なんだろうな〜って悩んじゃったりするんです。
かっつぁん
Kacchan
人それぞれの価値観があるから、そのときの立場や状態状態でいろいろあるから、一概には言えないけど、アドバイスするとしたら、
自分がせっかく足を踏み入れたところでは、自分の中で結果がでるまで、とにかく目一杯やってみて、それがだめだったら、別に次のこと考えりゃいい話だし。
新しい世界に飛び込むのであれば、まったく違う新たな価値観ってのが出て来るから、そのときの状況状況で変わって来るよね、それは変わってしかるべきだし。
例えば、ひとつのところでずっと定年まで、過ごすことだってわるいことだって思ってないし、おれにその価値観がなかっただけであって。
そのときの自分の状態に素直になるっていうことが大事なんじゃないかな。
自分の状態に素直になるには
おむすびマンくぼ田
Kubota
正解なんてなくて、自分の状態に素直になるってことが大事、ということですね。
その「自分の状態に素直になれない」って人が多いですよね。そういう人にアドバイスするとしたら何かありますか?
かっつぁん
Kacchan
本当に極端な言い方をしちゃうと、例えば、今いる会社が、やっぱりこの会社は合わないから、次の会社に飛び込んでみようかなって悩んでいたとするよね。
それで実際に次に飛び込んでみたときに、どんなことが起きたとしても、だれかに殺されたりするようなことはないわけよ。極端だけど。
もし、新しく入った世界がまた違うよってなっても、また変えればいいだけの話でさ。
人なんて、自分が食うために頑張るんだって思えば、なんだってできると思うんだよね。
だから、自分が生きる!っていう気持ちさえあれば、なんだって大丈夫だと思う。
おむすびマンくぼ田
Kubota
死ぬわけじゃないんだから、素直になってみなさい!ってことですね。
かっつぁん
Kacchan
そういうこと。
意外と、飛び込んでみると、まったく新たな世界が見えて来て、パッと目の前が明るくなることの方が多いんじゃねえかな?と俺は思うんだけどね。
おむすびマンくぼ田
Kubota
実践して来たかっつぁんに言ってもらえると、素直になって行動してみようかなって勇気もらえます!
かっつぁんが今後やりたいこと
おむすびマンくぼ田
Kubota
では、最後の質問になるのですが、今後のかっつぁんの展望を教えてください。
かっつぁん
Kacchan
今後?わからんね。正直、このおにぎりだって、ずっとやってるかもわからないよ。
おむすびマンくぼ田
Kubota
今を大切にしている、かっつぁんらしい答えですね。
かっつぁん
Kacchan
ひとつだけ、こうしたいな〜っと思っていることはあるよ。
年取って来ると、こんなあったかい房総の地でも、寒いな〜って思うことがあるんだよ。
そうすると、本当の南国、南国の島に行ってみたいなって思うのよ。
もともと房総にきたのは、おれ釣りが好きでね、釣りがやりたくて、房総きたのに、結局内陸に住んじゃったから、あんま釣りやってないのよ。
おむすびマンくぼ田
Kubota
魚よりも、お米と向き合ってますもんね!
かっつぁん
Kacchan
そうだね。笑
最後の最後は、常夏の地で、のんびり釣りして、最後を迎えたいな〜っていう思いがあるから、だから、今のこの状態がゴールだとは全然思ってない。
おむすびマンくぼ田
Kubota
南の島、素敵ですね!
ちなみに、東京の調布にあるomusubi teshimaの手島さんも、最後は海の側でおむすび結びたいって言ってました!
かっつぁんの話を聞いていると、自分に素直に、今を大事に生きて行くことの大切さを意識させてもらえます。
若い世代に恩送り
かっつぁん
Kacchan
そうそう、あと今後っていうことでいうと、もうひとつあるかな。
現時点は、この商売も、とっても楽しいし、本当に自分の思った通り、楽しく、商売も生活もしているわけだけど、自分が楽しいだけじゃ、だめだよな〜って思うのよ。
これからの若い世代に恩送りしてやる形をとりたいな〜って思って、若い世代をいかに盛り上げるかっていうのを考えてる。
おむすびマンくぼ田
Kubota
恩送り。いい言葉ですね。
かっつぁん
Kacchan
だから、この店も、いろんな人に活用してもらいたいなって思うのよ。
例えば、今は店を持っていないけど、これから飲食店やりたいという人に1日限定で出店してもらったりね。
おむすびマンくぼ田
Kubota
和菓子屋さんとか、いろいろコラボされているのは、それだったんですね!
かっつぁん
Kacchan
うちは、おにぎり専門でやってるから、おにぎり以外のことはやらないからこそ、そういう和菓子とか、誰かとコラボすると、お客さんも喜ぶんだよね。
おむすびマンくぼ田
Kubota
若い人にチャンスが広がって、お客さんも喜んで、素敵な広がりが生まれてるんですね。
かっつぁん
Kacchan
せっかくこうやって店やってるから、色々人が集まってくれる場所ができればいいなってのがあってね。
自分が寂しがりやだからね。
おむすびマンくぼ田
Kubota
ぼくらにも、こうやって取材させてもらう機会もいただけて、感謝です!
まだまだ色々お話聞きたいのですが、長くなりすぎてしまうので、この辺にしておきます。。
今日は本当にありがとうございました!
かっつぁん
Kacchan
はいよ、ありがとー!またよろしく!
名前 | 坂本勝彦 |
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所属 | おにぎり工房かっつぁん |
出身地 | 東京都 |
活動エリア | 千葉県 |
好きなおむすび | 千葉おにぎり |
好きなお米 | いすみ米 |
musubi_memo
かっつぁんには、ここには書ききれないほどお話を聞かせてもらいました。
いすみ市にある今のお店に移転する前には、千葉市の千城台商店街で最初に出店していて、その後、千葉都市モノレールの駅ナカにも2店舗目の出店もした上で、今のお店のスタイルに辿り着いているんです。
サラリーマン時代から進化し続けているかっつぁんは、今の自分の状態に素直に行動することを大切にしているんだなということが伝わってくるインタビューでした。
ぜひ、千葉県に行く機会があれば、いすみのかっつぁんにも会いに行ってみてください!
インタビュー&編集:おむすびマンくぼ田
坂本さん、よろしくお願いします!
今日は、お店の名前と同じく「かっつぁん」と呼ばせてください!